リスクとは何か?を考えて
プロ野球界の育成契約
現在日本シリーズ真っ只中、ホークスとベイスターズによる熱戦が繰り広げられていますが、先日「ホークス3軍はなぜ成功したのか?」という本を読みました。3軍は育成選手中心でそこから現在のホークスの主力が数多く育っています。その中で育成から支配下を勝ち取った石川柊太選手(現ロッテ)のインタビューがあり、彼の言葉の1部抜粋です。「人生、何にリスクを取るか、ですよね」「(育成で)入ってくることがリスクならそれは回避できると思う」「3軍制はあった方がいいと思います。チャンスがあるから」。これは育成契約はリスクが高いと心配する周囲の声に対して、また3軍制に否定的な意見に対する彼の言葉です。

資産運用の世界
私も仕事である選択制確定拠出年金制度(DC)の資産運用において「運用リスク」は重視します。一般的には積み立てた資金が減少するリスクのことだと言われます。もちろん、それを適切に管理することは重要です。しかし、損失を避けることばかりに意識が向くと、もう一つの重要なリスクを見落とすことになります。それが「増えないリスク」です。何もしなければ損失は発生しないように見えますが、実際には成長の機会を逃し、将来の可能性を狭めているのかもしれないのです。例えば、資産を安全性の高い預金だけで保有している場合、元本が守られる安心感はあります。しかし、物価が上昇すれば、お金の額面が変わらなくても実質的な購買力は低下する。私はよく資産減少リスクを心配して資産運用に踏み出せない方へ「資産が減少するリスクもありますが、逆に増えないリスクを考えることも大切ですよ」とアドバイスします。現状維持は必ずしも安全を意味しないと思っているからです。
多様なリスク
だからこそ、リスクを考える際には「どれだけ失う可能性があるか」だけでなく、「何もしないことで何を失うか」という視点が必要になります。まさに育成契約からスタートした石川選手が教えてくれたことではないでしょうか。もし石川選手が育成契約というリスクを恐れてチャレンジしなければ、石川選手はプロ選手として活躍すという機会を失っていたわけですからね。彼はリスクをチャンスに変えた人間の1人です。
リスクバランスを考えて
運用リスクを軽視しろということではありません。重要なのは損失の可能性と成長の機会を逃す可能性を比較し、長期的な視点で判断することが必要です。リスクをゼロにするのではなく、許容できる範囲で未来への可能性を確保することが大切なのです。本当のリスク管理とは、単に損失を防ぐことではない。何もしないことで生じる停滞や機会損失も含め、将来にわたって何を守り、何を育てるべきかを考えることです。大切なのは、守るべきものを守りながら、成長の機会を失わないことなのです。「減らさないこと」だけでなく、「増えないこと」もリスクとして捉える。その視点こそが、持続的な成長と将来の安心につながるのだと私は疑いません。

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