自助・共助・公助の国づくり
先日次期総裁候補のお一人の発言の中に出てきた「自助・共助・公助」とは?
この概念が広まったのは阪神淡路大震災を契機として、特に防災分野で使われるようになったのだそうです。災害に対して、自分で備える自助、近所や地域の人と助け合う共助、そして国や地方自治体などの支援である公助の3つの備え方として世に広まりました。しかし先日の発言では「自助・共助・公助。この国づくりを行っていきたいと思います」とおっしゃられていましたので、これは防災のことだけではないと思ったのは私だけではないと思います。
「自助・共助・公助」は社会保障の基本理念にもある
「自助・共助・公助」は戦後わが国の社会保障の基本理念にも使われ、それをその後も継承しています。2006年の社会保障のあり方に関する懇談会最終報告書の「今後の社会保障の在り方について」の中にも社会保障についての基本的考え方として「わが国の福祉社会は、自助、共助、公助の適切な組み合わせによって形づくられるべきもの」とあります。またその中に記載されていることを少し略して書きますが「自助を基本とし、共助が補完、その2つで対応が難しい部分の対応を公助と位置付けることが適切である」というように記載されています。
《参考》2006年の社会保障の在り方に関する懇談会最終報告書「今後の社会保障の在り方について」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyou/dai18/18siryou3.html
日本の年金制度を「自助・共助・公助」で考える
私は「自助・共助・公助」を社会保障の1つでもある年金制度で考えてみました。自助は私的年金、公助は企業年金、そして公助は公的年金にあたるかと思います。しかし年金制度の場合、順番が上記の懇談会最終報告書と逆になっているような気がします。つまり老後はまず公的年金が基本でそれだけで対応が難しければ企業年金や私的年金で対応するようになっているのではないかということです。考え方の問題だと言われればそうかもしれませんが、選択制確定拠出年金制度の営業をやっていて従業員説明会などでも大部分の方はまず国の老齢年金があって足りない部分をどうしようと考えているように感じます。もし国の老齢年金が基本だということであるならば、やはり基本はある程度確約的な保障がないとと私は思います。しかし今の制度は少子高齢化がどうしても影響してくる世代間扶養(賦課方式)の形なので将来の年金額を確約するのは難しいですよね。世界には老後の年金は税金を財源とした一律の最低保証額のみという国もあります。
自助が先か、公助が先か?
先にも述べたように考え方でもあると思うのでどちらが良いかはわかりませんが、私はやはりできるだけ早く選択制確定拠出型年金制度などを利用して企業と一緒に私的年金を準備していき公助である老齢年金をプラスアルファと考えられることをお勧めします。選択制確定拠出年金制度の導入という企業の共助を得て、自助による私的年金を準備。これにあといくら公助である公的年金を上乗せできるか。まさに懇談会最終報告書にある「自助を基本とし、共助が補完、その2つで対応が難しい部分の対応を公助と位置付ける」ということですよね。